とくなが久志奮闘録

日々の生活や仕事のなかで考えたことを、ふんわりと書き連ねていきます。

「中学入試の英語」をやってみたら・・・

中学入試に英語 急増

「中学入試の英語」をやってみました。念のために、高校入試や大学入試ではありません。小学校6年生が受験する「中学入試の英語」です。

 

英語の入試を導入する私立中学校が急増し、今年は首都圏と近畿圏の約3割にあたる137校で行われることがわかりました。

 

英語入試は従来、もっぱら外国からの帰国子女を対象に行われていましたが、数年前から一般枠でも行う学校が増えてきました。多くの学校は国語と算数が必須で、社会・理科と英語のいずれかを選ぶなどの選択型ですが、英語単独の入試もあるとのことです。

 

小学校英語 2020年から正式教科

2008年度に小学5・6年生を対象に外国語活動として、小学校の英語教育は始まりました。2011年度に「小学5年生から必修」となり、2020年度からは「小学3年生からの必修化」と「小学5年生からの教科化」が完全実施されます。「教科化」ということは、通知表に成績が記されるということを意味します。

 

「中学入試の英語」をやる

そんなことでもあり、「中学入試の英語」をやってみました。これは、2017年の大妻中野中学校の入試問題です。

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次の1~7 の( )に入る最も適切なものを(ア) ~(エ)の中から 1 つ選び、記号で答えなさい。

1. “(   ) I use your dictionary?” “Sorry, you can’t. I’m using it now.”

  (ア) Shall  (イ) May  (ウ) Must  (エ) Will

2. Could you give me (   )?

  (ア) some advices  (イ) an advice  (ウ) some advice  (エ) any advices

3. If you want this pen, I’ll give (   ).

  (ア) you it(イ) it you  (ウ) it to you  (エ) you to it

4. “(   ) going?” ‘‘I’m OK. Thank you for asking me.’’

  (ア) How’s it  (イ) How’s you  (ウ) How do you  (エ) How’s

5. This computer has not (   ) for a long time.

  (ア) been used  (イ) used  (ウ) being used  (エ) been using

6. “I watched an (  ) movie yesterday.” “It was great. Could you lend it to me? ”

  (ア) excited  (イ) exciting  (ウ) boring  (エ) bored

7. (   ) you go, you’ll be on my mind.

  (ア) However  (イ) Whichever  (ウ) Wherever  (エ) Whatever

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いかがでしょうか。何だか驚きますよね。もっと幼稚な問題、というかクイズのようなものを想像しますよね。「えー、どうだったかな」と悩む問題もあります。

 

上の問題は明らかに英文法の問題です。助動詞や授与動詞、現在完了など中学1、2年生レベルです。このまま中学の定期テストに出題されても何ら不思議ではありません。しかも、文法以外でも、この問題文が理解できているとするなら、おそらく500語程度の英単語がマスターされているはずです。

 

私の子どもは小学6年生なので、英語の授業の内容を聞いてみたら、歌やゲーム、簡単なクイズしかやっていないとのこと。問題文を読むことすらできないでしょう。

小学校英語の現状

2020年度から教科化され、また、中学入試で英語が出題されることが普通になれば、小学生英語を取り巻く状況は一変し、過熱化することが予想されます。

 

しかしながら、小学校の教員で英語指導を学んだことのある人はいないのではないかと思います。文部科学省の調査(2017年)によると、小学校教員で英語教員免許を持っている人は5%。海外留学の経験者も5%でした。

 

現場の体制が整わないなかで、試行錯誤の教科化。しかも、中学入試のレベルを考えると、学習塾にとって新たなビジネスチャンスが生まれたということになるのでしょう。

 

小学校英語と脳科学

脳科学の研究によりますと、外国語の習得は12歳を過ぎてからがベストだとされています。少なくとも、言語脳完成期の8歳までは、豊富な母国語を聞かせるべきで、脳の完成度を上げるためには外国語の入る余地はないということです。

 

脳の中に2つ以上の言語の仕組みを持てるのは、8歳の言語脳完成期を過ぎてからで、母国語の仕組みが確立される前に、外国語のあやふやな母音を混ぜてしまうと、将来、コミニュケーション障害を引き起こす可能性も指摘されています。

 

母国語が完成しないまま、外国語を押し込もうとすると、1つも脳の中の言語野が完成していない「母語喪失」の状態になります。そうなると、人の気持ちがわからないし、自分の気持ちも表現できません。社会的なディスコミュニケーションもここに原因があるのかもしれません。

 

だから、私は、かねてから小学校の英語教育に否定的なのです。今回、「中学入試の英語」をやってみて、意を強くしました。

 

 

以上、『「中学入試の英語」をやってみたら・・・』でした。 

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