とくなが久志奮闘録

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平昌五輪開幕 「南北合同チーム」は統一の機運を高めるか?

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南北合同チーム結成

いよいよ平昌五輪が開幕です。

 

今回の平昌五輪の最大の見所は、韓国と北朝鮮による歴史上初の南北合同チームの結成です。

 

これは、間違いなく歴史に刻まれるべき出来事です。ただ、それが、歴史的快挙なのか、歴史的愚行なのか。それは、朝鮮半島の緊張緩和をもたらすのか、南北統一への機運を高めるのか、興味のつきないところです。

 

韓国と北朝鮮がスポーツの国際大会で合同チームを結成した例は、過去に2度あります。

 

1991年、千葉で開催された世界卓球選手権と、同年のポルトガルでのサッカー世界ユース大会(20歳以下)です。

 

五輪で両者がそろって開会式に入場したのは、2000年シドニー大会と2004年アテネ大会です。繰り返しますが、南北合同チームは夏冬通じて初となります。

 

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北朝鮮が参加を決めた理由

北朝鮮が、なぜ、参加を決めたのか。素朴な疑問です。

 

相次ぐミサイル発射や核疑惑で国際的に孤立を深め、各国からの経済制裁で国内的に疲弊を極めている北朝鮮が、何とか活路を見出そうとしての参加を決めたという分析が多くなされています。

 

はっきり言って、こうした分析は誤りです。したたかな外交攻勢の一貫だとみるべきです。しかも、一石三鳥を狙っています。

 

  1. 北朝鮮の五輪参加は、韓国の文大統領の選挙公約。公約実現に尽力したという貸しをつくることができる。
  2. 南北融和のムードで、アメリカは強硬姿勢を取りづらくなる。
  3. 日・米・韓の同盟関係に少しでもくさびを打ち込むことができる。

 

こうした狙いをもって北朝鮮は参加を決めたと思われます。五輪の政治利用そのものであり、外交攻勢に利用しています。

 

女子アイスホッケーで混乱

政治的な意図をもって決定された合同チームゆえに、実際の現場では混乱があるようです。

 

女子アイスホッケーで、北朝鮮の選手が12名加わることが政治判断で決められ、一方的に通告された韓国代表チームは戸惑い(韓国選手を3名外さないといけない)、これに反発する国民の抗議行動につながりました。

 

さすがに国際オリンピック委員会(IOC)もこれに配慮し、従来の選手枠とは別枠で北朝鮮選手12人を加えると決定しました。今度は参加する各国から「不平等だ」と反発がおこる有様です。

 

このアイスホッケーの例外的な決定を含めて、北朝鮮は合計で3競技10種目に22人の選手が参加することになります。この中で、正規のルートで出場権を獲得していたのは、フィギュアスケートのペアのみです。

 

政治決定ゆえの不公平さに違和感を感じる韓国国民は多いようです。しかし、です。

 

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国家より民族

2月14日、女子アイスホッケーの試合「日本vs南北合同チーム」が行われます。

 

おそらく、韓国・北朝鮮ともに一緒に応援して、「日本負けろ!がんばれコリア!」となるのでしょう。そうなると、韓国国民は「南北一緒に応援して良かったな」となってしまうのだと思います。

 

そういう状態がつづいて迎える2月25日の閉会式は、「最初は変な感じだったけど、南北一緒にやって良かったね」「民族は協力しあえるんだね」となるのでしょう。

 

これこそ民族の血というものです。国家意識より民族意識です。

 

機運を高める「戦争を知らない世代」

韓国の人口5千万人のうち、半数以上は朝鮮戦争以後に生まれた世代です。北朝鮮の朝鮮人民軍が38度線を突破して韓国を席巻し、韓国市民の多くが命を落とした苦い経験をしていない世代です。

 

朝鮮戦争のとげが刺さっていない世代は、目の前に「同じ民族だとこんなに話し合えるのか」ということが次から次へとおこったら、雰囲気ががらっと変わってしまいます。南北交流への抵抗感がなくなります。

 

もちろん、北朝鮮は独裁体制ですから、そうは簡単ではありません。ただ、隣国の中国、そしてアメリカや日本とは、どうしても相互理解が進まないけれども、同じ民族だとわかり合えるということに気づき始めると思います。

 

南北統一チームは、統一の機運を高めることはあっても、萎んでいくことはないと考えています。

 

もちろん、こうした視野も一方で持ちながら、五輪後の朝鮮半島情勢を冷静に分析して日本のアジア戦略を構築していかなくてはなりません。

 

以上、『平昌五輪開幕 「南北合同チーム」は統一の機運を高めるか?』でした。

 

*余談*

同じアイスホッケーで女子だけが、なぜ、南北合同チームなのか。韓国男子代表チームは、帰化選手が7人いて強化が進んでおり躍進が期待できる一方で、女子チームは勝つこと自体が難しそうだから、大勢に影響がないとの判断に基づくようです。これって、発想そのものが貧しいですね。

 

 

www.1097naga.com

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