とくなが久志奮闘録

日々の生活や仕事のなかで考えたことを、ふんわりと書き連ねていきます。

「若者は自民党を強く支持」は正しくない

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国政選挙の度に、マスコミ各社がこぞって世論調査を行います。そして、「若者は自民党を強く支持」という見出しを掲げます。

 

本当にそうなのか?

 

世論調査の結果を中心に考えましたが、結論は、若者が他の年代層に比べて強く自民党を支持しているのではない、ということです。

 

◆「若者は自民党を強く支持」説が広がる

政治関係者と話しをしていると決まって、「今の若い人は自民党支持だから・・・」という議論になります。

 

実際、新聞各紙は様々な調査結果を持ち出して、「若者、自民支持強い」などと大見出しをぶち上げます。

 

また、雑誌などでも、「なぜ、若者は自民党を支持するのか?」と題する論文が数多く発表され、それらしい結論が書かれています。(その結論の多くは、野党に魅力がないからというもの)

 

そもそも、この説の最大の根拠となっているのは、選挙の投票日に行われる「出口調査」の結果です。

 

◆出口調査と世論

出口調査とは、選挙の投票日に、投票所の出入り口近くにマスコミの腕章をはめた人が、投票を終えた人をつかまえて、「よろしければ、誰に投票したか教えて下さい」と聞くものです。

 

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上の図表は、昨年秋の衆院選でNHKが行った出口調査の結果です。

 

確かに、18・19歳と20代では半分近い人が自民党に投票しています。これが、「若者は自民党を強く支持する」説の最大の根拠となっています。

 

繰り返しますが、出口調査の数字は実際に投票所に足を運んで、投票を済ませた人に調査したものです。投票に行かなかった人は含まれないのは当然です。

 

このNHK出口調査では、投票した若者の48.5%が自民党に投票したことはわかりますが、投票に行かなかった若者は含まれていません。つまり、出口調査の若者の自民党得票率の高さは、若者層全体の自民党支持率の高さを示すものではないということです。

 

絶対得票率というのがあります。これは、有権者数全体での得票の割合を示しています。当然、その母数には投票に行かなかった人も含まれます。

 

これで、20歳代の若者を比較してみます。どちらも同じNHKの出口調査の結果の数字です。(下図で緑の実線が絶対得票率、緑の点線が出口調査の自民党得票率)

 

 

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全ての年代層の絶対得票率の平均は20.5%で、20代の16.9%は、他の年代層と比較して最も低い数字です。

 

ここからわかることは、投票に行った若者の自民党への得票率は高いと言うことができるが、若者層全体では他の年代層に比較して自民党への得票率が高いとは言えないということです。

 

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◆出口調査の得票率が高い理由ー私の仮説

ここで余談を。

 

先日、京都の大学生グループと議論をする中で、昨年の総選挙について面白い発言がありました。

 

選挙始まってすぐに新聞で「自民党大勝」と出ていたのを見て、「もう結果が決まってるのか」としらけた。(男性)

自民党が勝つのが最初からわかってたから、自分がわざわざ選挙に行く必要はないと思って・・(女性)

勝敗の決まっているゲームに参加するヤツっていないでしょ。(男性)

 

昨年秋の衆院選では、確か、公示の翌日くらいに各紙に「自民圧勝」の見出しが躍っていました。それで若い彼らはしらけてしまったと。

 

「さあ、今夜の巨人・阪神の伝統の一戦は、首位攻防戦となります。なお、本社独自の調査と取材にもとづいて分析した結果、10対1で巨人が勝利することが確実となっています」

 

ニュース番組でこんなコメントを出されたら、誰が球場に行くのでしょうか。少なくとも、熱心な阪神ファンである私は絶対に行きません。実際に行くのは、熱心な巨人ファンしかいないでしょう。

 

一般的に若者の投票率は低いです。その上、「自民圧勝」が確実と報道される中で、実際に投票所に足を運ぶ若者は、もともと強い自民党支持者ではないかと思うのです。

 

つまり、日頃から強く自民党を支持する若者が投票所に行って、出口調査で投票先を自民党と答え、それに低い投票率というバイアスがかかって高い数値が出るという仮を、私は立てています。

 

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◆まとめ

「若者は自民党を強く支持」説を鵜呑みにして議論する野党関係者が大勢います。その理由を探ろうという人も多いです。

 

また、「アベノミクスによって景気回復となり、若者が自民党支持に・・・」と論じ、「若者は戦争への道を自ら歩んでいる」という演説を聞かされる度に、深い溜息が出てしまいます。「やっぱり、この人たちは、僕たちのことがわかっていない」と思うことでしょう。

 

私自身の皮膚感覚で、若者の自民党支持はマスコミが言うほど高くないと感じていました。そのことを、今回、改めて考えることができました。

 

でも、自民党のネット戦略が優れていることは事実です。他の政党も負けないように!

 

以上、『「若者は自民党を強く支持」は正しくない』でした。

 

本稿執筆にあたりこのサイトが大変参考になりました。お礼申し上げます。↓

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