とくなが久志奮闘録

日々の生活や仕事のなかで考えたことを、ふんわりと書き連ねていきます。

「文春」だけが悪いのか? 小室引退で「文春砲」に大批判

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┃「文春砲」に大批判

流行語大賞にもノミネートされ、数々の記事でスクープの代名詞となった「文春砲」ですが、引退を発表した小室哲哉さんへの記事をきっかけに大きな批判がおきています。

 

やっとクソ文春のヤバさが大衆に浸透してきたか。結局こうなるしかないビジネスモデル。誰得と言い続けてきたの俺だけ。 (堀江貴文氏)

 

もう不倫報道ええやろ。誰にも迷惑かけてない事は放っておきなさいよ!雑誌がまた一人の天才を殺しました。 (エハラマサヒロ氏)

 

週刊誌による興味本位の有名人不倫報道、いつまでこんな非生産的なことを続けるのか。(舛添要一氏)

 

確かに、ごもっともな指摘です。一連の「文春砲」に面白がっていた人が多くいた一方で、眉をひそめていた人がいたのも事実です。

 

でも、ここにきての「文春砲」叩きに違和感を感じるのです。悪いのは文春だけか?と。

 

┃週刊文春編集長の考え

 

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 文春編集長の考えです。「裁きではなくエンターテインメント」を目指しているとのことです。「ガス抜き」の意味はよくわかりませんが。

 

有名人の不倫などのスキャンダルを暴露し、記事という形で鉄槌をくだすことは考えていない。エンターテインメントなのだから読者に単に楽しんでもらえばいい、という感覚。裏返せば、楽しみ方は読者にお任せするとも解釈できます。

 

その楽しみ方こそが問題です。現実は、陰湿ないじめのような雰囲気が社会全体にできあがり、ひいては、国民参加型「人民裁判」が行われているのではないでしょうか。

 

その「人民裁判」の判決が、引退であったり、活動休止・自粛ということなのかもしれません。

 

┃「文春」は発行部数横ばいなのに・・・

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「文春砲」炸裂によって、文春は発行部数が伸びているかといえば、そうでもないようです。

 

出版不況と言われ、競合する他誌が発行部数を急激に落としていることを考えれば、横ばいを保っているので目立つということです。

 

逆に、2017年にあれだけ「文春砲」が炸裂しても、飛ぶように売れているわけではありません。

 

部数が伸びていないのに、なぜ、不倫スキャンダル等を追い求めるのか。

 

なぜ、そこに、多額の取材費を投じることが出来るのか。

 

疑問がわいてきます。

 

┃文春を後追いするメディア

またもや文春砲の炸裂です。今週発売の週刊文春によりますと・・・」 もはや、ワイドショー番組の司会者が決まって言うセリフです。

 

「一部週刊誌の報道に対し、本紙が取材したところ・・・」 今や、全国紙の記事で普通に見かける書き方です。

 

つまり、独自に取材することなく、すべてが後追いしているに過ぎないということです。これに対して、東洋経済オンラインの山田俊浩編集長はこう指摘しています。

 

本来であれば資本力を持った新聞やテレビが王道の報道をして、ちょっとゲリラ的にやんちゃな報道をするのが雑誌、という関係だった。

それが今や、週刊誌がど真ん中にきていて、新聞やテレビが追いかけるようになっている。かつては想像していなかった、不健全な状況だ。 

 

こういう状態がつづいているうちに、記事を作る際に用いた素材をテレビや新聞に売るというビジネスモデルが出来たということです。

 

文春は、3万円~5万円で映像素材を、音声は10万円という具合に。何度もテレビで流された、某国会議員の「このハゲー」は1千万円の収益をもたらしたようです。

 

つまり、不倫記事で雑誌は爆発的に売れることはないが、取材素材を他のメディアに売ることで利益が出る。素材を買ったメディアが記事と同じ内容を大々的に報じ、テレビは視聴率が取れ、文春はその価値を高める。とまあ、こんな循環です。

 

ちょっと、脱線しますが、2017年11月、文春の記事で名誉を傷つけられたとして、イオンが裁判に訴えた判決が出ました。

 

訴訟を起こして言論や表現を萎縮させるのではなく、良質の言論で対抗することで論争を深めることが望まれる。 (東京高裁判決)

 

テレビや新聞からすれば、「文春が報じた」と言いさえすれば、自ら取材しなくても良いし、リスクも少なくてすみます。

 

「良質の言論」を放棄して、安易に文春に乗っかかる姿勢こそが、「人民裁判」を助長させているいうのは言い過ぎでしょうか。

 

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┃ウーマン「お前らのことだ!」

「メディアは視聴者を映す鏡」といわれます。

 

「不倫なんてどうでもいい」「もっと他に大事なことがあるだろ」と思いながらも、メディアがそこに時間とコストをかけるのは、視聴率がとれるからです。

 

やはり、私たち視聴者の問題でもあると思います。

 

何だかんだ言いながらもワイドショー番組をずっと見続けたからことが、小室さんを追い詰めたことにつながったのではないでしょうか。

 

ここで思い浮かぶのは、ウーマンラッシュアワーが2017年末の『THE MANZAI』で披露したネタです。最後のくだりだけ紹介しておきます。

 

村本:現在、日本が抱えている問題は?

中川:被災地の復興問題

村本:あとは?

中川:原発問題

村本:あとは?

中川:沖縄の基地問題

村本:あとは?

中川:北朝鮮のミサイル問題

村本:でも、結局、ニュースになっているのは?

中川:議員の暴言

村本:あとは?

中川:芸能人の不倫

村本:それは本当に大事なニュースか?

中川:いや、表面的な問題

村本:でも、なぜ、それがニュースになるのか?

中川:数字が取れるから

村本:なぜ数字が取れる?

中川:それを見たい人がたくさんいるから

村本:だから本当に危機を感じないといけないのは?

中川:被災地の問題よりも

村本:原発問題よりも

中川:基地の問題よりも

村本:北朝鮮問題よりも

中川:国民の意識の低さ

(テレビカメラを指さして)

村本:お前らのことだー!

 

以上、『「文春」だけが悪いのか? 小室引退で「文春砲」に大批判』でした。

 

*余 談*

ウーマンラッシュアワーは、このネタのために年末年始のテレビ番組から干されてしまいました。今や、コンビ解散の噂も流れています。