とくなが久志奮闘録

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平昌五輪開幕 国籍変更・帰化選手で問われる「オリンピックの求心力」

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増える帰化(国籍変更)選手

いよいよ平昌冬季五輪が開幕します。

 

イマイチ盛り上がりに欠けると言われていますが、開催国の韓国は必死の取り組みをやっているようです。

 

開催国のメンツにかけても獲得メダル数を増やそうとやっきになっています。金メダル8個、銀メダル4個、銅メダル9個でメダル獲得ランキング総合4位(前回ソチ大会13位)が国家目標とのことです。

 

そのために、わざわざ国籍法を改正し、優秀な外国人選手を特別帰化(国籍変更)させて、手っ取り早く選手補強に乗り出しています。

 

アイスホッケー代表22人のうち6人、バイアスロンでは3人、フィギュアでもアイスダンスとペアで外国人選手を帰化させて補強しています。トータルでは、韓国選手団約130人のうち10%以上の15人が帰化選手となります。

 

そういえば、リオ五輪では、卓球女子団体で、日本と銅メダルを争ったシンガポールは選手全員が中国からの帰化選手でした。アメリカ代表も6人中5人が、ドイツも6人中2人が中国からの帰化選手でした。

 

こうした帰化選手はますます増加していくことが予想されます

 

帰化選手が増える理由

国家がなぜメダル獲得に躍起になるのでしょうか?

 

それは、国民が喜ぶからです(私もその1人です)。国民が喜ぶことは「国益」にプラスであり、ひいては国際社会での威信を高めることにつながると考えられています。

 

自国ではとても現れない才能を持った選手を、経済的な好条件を提示して引き抜いていき、メダル増にさえつながれば国民は盛り上がるだろうという考えです

 

ただ、帰化選手が増える状況に警鐘を鳴らす動きもあります。国際陸連は選手の国籍変更を、新たなルールを整備するまで凍結することを決めました。

 

アフリカの陸上選手が、高い報酬と引き替えに自国を離れ、中東諸国へ帰化する現状を問題としたためです。国際陸連の副会長は、「アフリカの才能が、高い値をつける国に売られている」と嘆いています。

 

また、リオ五輪の男子マラソンにカンボジア代表として出場した「猫ひろし」も、カンボジアのオリンピック委員会から帰化を持ちかけられました。

 

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選手側からみた帰化の理由

ただ、選手の側から考えれば、帰化する理由は経済的なものだけとは限りません。

 

五輪に出たいが、母国はレベルが高く、競争相手が多くて無理だから」という理由で帰化するケースも多くあります。

 

また、内戦や治安悪化のために、難民となって国籍を変えざるを得ない場合もあるわけです。

 

選手が主体的に自らの可能性を追求し、さらなる大きなチャンスや有利な環境・条件を求めることを、一方的に非難することはできません。

 

企業の経済活動が、より良い環境を求めて国境を越えるのと同じことです。そこに、「愛国心」「これまでお世話になった恩義」という感情的な要素が入ると、とたんに話が複雑になるのもよく似ています。

 

私も五輪では日本人選手を応援します。当然です。でも、それと同じくらいに、「より速く、より高く、より遠く、より強く、より美しい」を見せてくれる選手はどこの国の出身だろうと応援したくなります。

 

ウサイン・ボルトが世界中で人気者だったのは、彼がジャマイカ人だからではないはずです。

 

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問われる五輪の求心力

このまま、選手の帰化・国籍変更が普通のこととなってしまえば、国別対抗戦である五輪は求心力を失うと思います。

 

アマチュアリズムからプロ化と商業主義へと拡大し、政治と関わりながら大きくなった五輪。

 

国家のメンツ・威信・国益をかけた競争から、選手同士のプライドをかけた競争へ

 

五輪の求心力をどこに求めるのかを改めて考える平昌五輪にしたいものです。

 

以上、『平昌五輪開幕 国籍変更・帰化選手で問われる「オリンピックの求心力」』でした。

 

*余談*

私論:五輪は、個人競技は国別の参加枠をなくし、一定レベルの個人参加のみとし、団体競技は撤廃する。団体競技は、種目別のワールドカップを最高峰とし、国籍問題は種目ごとの団体が自主的に決める。

 

www.1097naga.com

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