まるでアニメのヒーローのような大谷翔平選手の活躍を見ていて、ふと、野茂英雄氏のことを思い出しました。
野茂英雄といえば、日本人メジャーリーガーの草分け的存在。野茂氏の成功がなければ、後に続く松井秀喜氏やイチロー選手もなかったでしょう。
ただ、野茂氏がメジャー挑戦を表明した1995年当時は、今のように歓迎・応援されることなど全くなく、特にマスコミは「近鉄には育ててもらったのに・・・」「お世話になった近鉄に対して・・・」と非難囂々でした。
そんな中で、唯一と言っていいと思いますが、TBSの報道番組『ニュース23』のメイン・キャスターの筑紫哲也氏(故人)だけが、応援する発言を繰り返していました。
何とか渡米した野茂氏は、ご承知のような大活躍。選手のストライキでメジャーリーグそのものが低迷する危機にあったなかで、「メジャーの救世主」とも呼ばれました。
1年間の大活躍を経て帰国した野茂氏。マスコミは、いつものように手のひらを返して賞賛します。しかし、野茂氏は一切のテレビ出演を拒否しました。ただ、唯一の例外が、『ニュース23』でした。
当時は、応援してくれた番組とキャスターの筑紫氏への「恩返し」をした、と話題になったものでした。
今年、阪神タイガースから大和選手が横浜へとFAで移籍しました。
今年最初の阪神ー横浜戦を前にして大和選手は、「お世話になった阪神に、恩返しのつもりで打ちまくりたい」と言っていました。
阪神ファンとしては、名手・大和選手の活躍を期待したいところですが、「阪神戦だけは活躍しないでくれ」が本音です。
でも、野球界ではよくある話です。移籍した選手が古巣のチームとの一戦で活躍することは、「お世話になった恩返し」になるのです。
メジャーリーグから日本球界に復帰する選手がいます。
引退した黒田博樹氏が広島に復帰したのも、今年、上原浩治選手が巨人に復帰したのも、青木宣親選手がヤクルトに復帰したのも、それぞれが古巣チームへの「お世話になった恩返し」だといわれました。
先日、ファミレスで1人寂しくランチを食べていると、何人から立て続けに声をかけられました。
「市長選はありがとうざいました。おかげで市長が代わって良かったわ」
「徳永さんの応援のおかげで、町がようなるわ」
そのように言って頂くほどのことはしていないのですが、と恐縮してしまいます。
政治の現場では多くの人にお世話になります。特に、選挙では、たくさんの方々にお世話にならないと成り立ちません。
「お世話になった方々に恩返しをしたい」とは誰しもが思うこと。でも、政治家に限っていうと、唯一できる「恩返し」は、当選して政治家となって仕事で返すことです。
でも、落選してしまうと「恩返し」がまったくできない。それが、ここ何年か引きずってきた心のもやもやでした。
しかし、それだけではないのではないか。これはと思う人に、例え小さくなった力でもお貸しすることによって、当選していただき、市民のために頑張っていただくこと。これも「恩返し」の、ほんの一部になるかもしれない。
近江八幡市長選挙が終わって1週間もたつのに、市庁舎建設工事の轟音が鳴り止まないなか、ふと感じたことを書き連ねました。