とくなが久志奮闘録

日々の生活や仕事のなかで考えたことを、ふんわりと書き連ねていきます。

新スポンサー決定『サザエさん』の魅力

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『サザエさん』新スポンサーに日産ほか

フジテレビのアニメ番組『サザエさん』の新スポンサーに、日産自動車が決まる見通しとなったようです。

 

スポンサーはメインが日産となり、他に10社程度も名を連ねるとのこと。10社には新たにネット通販のアマゾンジャパン、子どもベビー用品の西松屋チェーン、大和ハウス工業が加わるようです。

 

また、早くから手を挙げていた高須クリニックやLINEも選ばれなかったようです。

 

『サザエさん』から撤退した東芝

東芝は、『サザエさん』のテレビ放映が始まった1969年からスポンサーとなり、1998年までは1社提供を続けていました。「エネルギーとエレクトロニクスの東芝がお送りします」というサザエさんの台詞が耳に残っている人も多いでしょう。

 

東芝がスポンサーになった1969年は、カラーテレビや洗濯機、エアコンといった家電製品の普及が進んだ時期と重なります。

 

家族そろって見る番組に、みんなが欲しいと思う製品のPRが出来ることは多大な効果をもたらしたと予想できます。ちょうど、この時期に『水戸黄門』のスポンサーに松下電器(現パナソニック)がついたのと重なります。

 

しかし、時代の流れとともに、東芝の事業の軸足がパソコンなどの情報通信分野に移り、1998年に1社提供から撤退します。

 

そして、2016年に白物家電部門を中国企業に売却したことから、スポンサーを続ける意味がなくなり、昨年11月に降板を発表しました。

 

つまり、家族そろって見る番組に、みんなが欲しいと思う製品がなくなった、ということでしょうか。経営再建中ですから、単にコストカットをはかったのかもしれませんが。

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『サザエさん』のスポンサー料

通常、テレビ番組のスポンサー料は、「15秒CM1回約10万円×視聴率」が相場のようです。番組の特性によって異なってくるのは当然で、アメリカンフットボールの祭典「スパーボウル」は30秒で6億円だそうです。

 

それでは、『サザエさん』のスポンサー料ですが、1社で月7千万円前後、年間約8億円となるようです。つまり、「8億円を出させて下さい」と多くの企業が手を挙げたわけです!

 

『サザエさん』の魅力

フジテレビにとって、この『サザエさん』枠はドル箱だったようです。それは、『さざえさん』という番組の持つ魅力とつながります。

 

まず、視聴者層がファミリーということで明確になっていることで、すべての世代の男女に訴えることができます。

 

また、世界で最も長く放映されているテレビアニメとしてギネスブックにも登録されているなどブランドとして確立されていること、そして、日曜の夜に家族がそろって楽しめる健全な番組というイメージが固定化しています。

 

さらに、企業にとっては、高い視聴率を長年にわたって安定してとっていることは最大の魅力となります。

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新スポンサーの思惑

『サザエさん』のスポンサーになることで、企業イメージを高めることができるのなら、年間8億円のスポンサー料もさほど高くはないということです。

 

特に、アマゾンや西松屋、大和ハウスなどは新興企業であるために、すべての世代に知られているわけではありませんから、知名度アップとともにイメージアップの効果は大きいでしょう。

 

アマゾンに就職したいという大学生が、「そんなコマーシャルにも出てこない会社はだめ」とおばあちゃんに怒られたという新聞記事を見たことがありますが、知名度・イメージは人材確保にまで影響してくるのです。

 

逆にいえば、高須クリニックやLINEが手を挙げたもの選ばれず、両者とも非常に残念がったのも、よくわかります。

 

それにしても、磯野家にはマイカーはなかったと思いますが・・・。

 

以上、「新スポンサー決定『サザエさん』の魅力」でした。

プロ野球キャンプイン 阪神・ロサリオ 期待と不安

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いよいよ、プロ野球のキャンプインとなりました。

 

我が阪神タイガースの今季の優勝のキーマンは、投手では藤浪晋太郎、打者では新外国人選手のロサリオです。

 

ロサリオは、阪神の歴代外国人選手では事実上最高額となる3億4千万円で契約しています。ケチの阪神球団がこれだけ出すのですから、期待はそれだけ高まります。

 

一方で、期待させておいてシーズンに入ったら・・・。ここ数年、繰り返されましたので、一抹の不安も同時に感じてしまいます。

 

そこで、ロサリオへの期待と不安をそれぞれ書いてみたいと思います。

 

ロサリオへの期待①・・実績は十分

コロラド・ロッキーズ時代

2011年  16試合  打率204  本塁打3  打点8

2012年  117試合  打率 270  本塁打28  打点71

2013年  121試合  打率292  本塁打21  打点79

2014年  106試合  打率267  本塁打13  打点54

 

韓国ハンファ・イーグルス時代

2016年  119試合  打率321  本塁打33  打点120

2017年  119試合  打率339  本塁打37  打点111

 

メジャー通算で65本塁打、韓国では2年連続で3割30本で100打点超えとなります。数字的には、ここ数年の新外国人選手に比べても、申し分のない実績を残しています。

 

動画で打撃を見ましたが、引っ張り一辺倒ではなく、センターから右へに軽打する器用さも持ち合わせているようです。

 

ロサリオへの期待②・・まじめな性格

メジャーで実績を残して来日する選手のなかには、日本を小馬鹿にしているようなところがあって、コーチの言うこともまともに聞かないということがあるようです。

 

韓国ハンファの打撃コーチとしてロサリオを指導した中島輝士(元日本ハム)は、「技術などを吸収しようとする姿勢、野球に取り組む姿勢はすごくまじめで、しかもよく練習する」と言っています。

 

また、韓国では、薄味のちゃんぽんを好んで食べていたらしいです。その土地の食をはじめとする生活に慣れようとする姿勢は、ビジネスで成功する上においても、重要なポイントだとよくいわれます。ちなみに、阪神のエース・メッセンジャーは日本の豚骨ラーメンが大好物です。

 

いきなり、アメリカから来日したのではなく、韓国で2年間、生活した経験は大きいと思います。メンタルの部分で崩れていく外国人は多いですから。

 

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ロサリオへの不安①・・守備はうまくない

一方で、当然、不安な面もあります。まず、守備です。

 

メジャーでは捕手としてプレーしていました。ロッキーズの捕手最多本塁打を更新するなど、打てる捕手としてレギュラーとなっています。

 

ただ、捕手としては、あまりにもパスボールが多く、2015年からはファーストへとコンバートされています。

 

韓国ハンファでは、主にファーストです。エラーの数はリーグワースト4位。決してうまいという評価にはならないでしょう。

 

まあ、守備はほとんど期待していませんからいいのですけど。でも、間違っても捕手では使わないことです。おそらく、桑原の独特のスライダーは全部、後ろにそらすでしょう。

 

ロサリオへの不安②・・韓国での成績は中の上

ロサリオの韓国での成績「2年連続3割30本100打点」を、日本のプロ野球のそれと同じ感覚で扱っていいのかという問題です。

 

韓国プロ野球のレベルは、トップクラスを集めた代表チームとなると、WBCでも日本と接戦を演じるように、遜色ありません。ただ、それ以下となるとレベルはかなり落ちるといわれます。

 

例えば、チームのローテーションピッチャーが6人だとすると、1番手2番手の投手は日本でも通用する実力ですが、3番手以降は日本の2軍以下だと指摘する評論家がいます。

 

そういう環境のなかで、昨年のロサリオは打率339ですが、首位打者ではありません。首位打者は370という打率です。

 

ロサリオの打率は全体で8位の成績であり、打率340以上の選手は7人もいます。ロサリオの下を見ても、3割打者がずらりと並んでおり、20位の選手ですら312となっています。

 

つまり、見た目の数字はスゴイけれども、いうなれば、偏差値的には「中の上」となるわけです。

 

まとめると

守備はもう目をつむりましょう。打撃は、韓国のレベルを考えて、その8がけ、すなわち、2割5分25本塁打80打点を合格ラインにすえましょう。これでも、昨年よりも大幅な戦力アップです。

 

金本監督には辛抱して使って欲しいと思います。投手は比較的、我慢して使っていきますが、打者は結果が出ないとすぐに切ってしまう傾向にあります。

 

開幕は4番でスタートするでしょう。慣れるのに時間がかかるようなら、6,7番で起用していく辛抱さを求めたいところです。

 

     

 

松本潤主演『99.9ー刑事専門弁護士ー』 99.9%裁判有罪率の3つの理由

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|『99.9ー刑事専門弁護士ー』

松本潤主演『99.9ー刑事専門弁護士ー』が好評のようです。

 

気になるのが99.9という数字。「日本の刑事事件における裁判有罪率(起訴された際に、裁判で有罪になる確率」と、公式サイトでは説明しています。

 

裁判有罪率が99.9%って、ほとんどが有罪になるということ。世界的にみても、これはかなり高い数字といえます。なぜ、こんなに高い数字になるのでしょうか。私は、3つの理由があると思います。

 

 

|理由その1ー被告人が罪を認めている裁判が大半

日本の刑事裁判で、有罪率がとても高い最大の理由は、起訴された被疑者のほとんどが、最初から罪を認めているからです。

 

被疑者が最初から罪を認めていて、あとは刑の重さを決めるだけの「量刑裁判」は、刑事裁判全体の90%前後を占めています。

 

被告人自身が有罪だと認めている裁判が大半なのですから、有罪率は100%近くとなるのは当然です。

 

|理由その2ー有罪を見込める被疑者だけを起訴

しかしながら、無罪判決が出る可能性のある、被告人が罪を認めていない「否認裁判」の有罪率も97%となっています。「俺は何もやっていない」と訴えても、100人に3人しか無罪とはならないのです。

 

日本の刑事手続きは、逮捕された被疑者は検事によって仕分けが行われます。証拠などが十分ではなく、無罪となる可能性が高い事件については、起訴まで持ち込まずに「不起訴処分」にすることがあります。

 

一方で、有罪を立証できるだけの事実と証拠が明確にあると判断した場合は、必ず、起訴することになります。

 

逆に言えば、有罪を立証できるから起訴する、有罪の立証が難しいから起訴しない、ということです。こういうことなら、裁判になれば有罪となる確率が高くなるのも理解できます。

 

このことは、警察の検挙率のからくりと同じかもしれません。例えば、夫婦間の暴行、親族間の窃盗・詐欺、いじめ、ストーカーなどは、「当事者どうしで話し合って解決しなさい」と言って警察が事件として取り上げないケースがあり、それが犯罪件数を少なくさせているとも指摘されています。

 

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|理由その3ー予断をもつ裁判官

「無罪判決を出す裁判官は出世できない」と聞いたことがあります。『99.9ー刑事専門弁護士ー』第3話でも、無罪判決を出した裁判官は地方に飛ばされていました。

 

こういう噂話的なものは横に置くとして、検察が有罪を確信して起訴した裁判に無罪判決をだすことは、かなり勇気のいることだと思われます。

 

裁判官としては、有罪に疑いが生じたとしても、「起訴されているのだから証拠は十分だ」「否認しているのは、単なる言い逃れだろう」と考えても不思議ではないです。

 

「99.9%の有罪率」というお題目に、裁判官が思考停止しているとすれば、とても悲しいことです。

 

『裁判所の正体』という著書の中で、瀬木比呂志・元裁判官は述べています。

 

40年近くの裁判官生活の中で、約30件の無罪を確定させた裁判官もいるんです。一方、ほかの刑事系の裁判官は無罪はほとんどなし、ということなんですね。

でも、ある裁判官のところだけ無罪事件が集まったということは、きわめて考えにくいじゃないですか。

要するに、本来なら、おそらくほかの人たちにも30件くらいはあるんですよ。少なめにみて、1人20とか15だって、相当な数です

                     瀬木比呂志・清水潔『裁判所の正体』より 

裁判所の正体:法服を着た役人たち

裁判所の正体:法服を着た役人たち

 

 

瀬木氏の話に沿えば、「99.9%の有罪率」にひるんで、1人の裁判官が15件近くのえん罪を生んでいるのかもしれません。

 

以上、『松本潤主演「99.9ー刑事専門弁護士ー」 99.9%裁判有罪率の3つの理由』 でした。

 

TBS系 日曜劇場「99.9 ー刑事専門弁護士ー」オリジナル・サウンドトラック

TBS系 日曜劇場「99.9 ー刑事専門弁護士ー」オリジナル・サウンドトラック

 

 

インフルエンザ流行の原因は「皆勤賞」文化

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|インフルエンザ大流行

インフルエンザが流行というよりも、猛威を振るっています。

 

厚生労働省の発表によりますと、全国で推計患者数は約283万人。今の調査方法となった1999年以降で過去最高だといいます。

 

その原因は、最初にワクチン不足があったせいだという意見もありますが、今のところ有力なのは、A型とB型が同時に流行したため、ということのようです。

 

しかし、私は、別の原因があるのでは常々、思っています。それは、日本社会にある、「皆勤賞」を尊ぶ文化です。

 

|「皆勤賞」文化

「皆勤賞」とは、例えば中学校などで、3年間無遅刻無欠席で頂戴できる賞です。1日程度の欠席ならば「精勤賞」といいます。今では、こういう賞を設けている学校は少なくなったようですが、私の学校時代にはありました。また、高度成長時代の企業にも、無遅刻無欠勤を表彰する制度は普通にありました。

 

日本社会には、「無欠席」「無欠勤」を無条件に評価する文化があると思います。だいぶ薄れてきた感もありますが、まだまだ、「毎日休まず出勤(通学)した」ことが、すごいという評価になっていないでしょうか。

 

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|「風邪くらいで休んでられない」

職場・学校あるいは電車・バスで、いかにも熱っぽい顔色をした人が、つらそうにマスクごしにゴホゴホしている姿を多く目にします。

 

この人たちは、たいてい、こう言います。「風邪くらいで休んでられない

 

まさに、「皆勤賞」文化を象徴する言葉ではないでしょうか。

 

先日、『ネプリーグSP~林先生VS11人の最強インテリ芸能人!冬の陣~』で、「38度以上の熱で会社を休む人の割合」が45%、「38度以上の熱があっても休まない」という人が過半数を超えていました。

 

ウィルスに感染しているにもかかわらず、「風邪くらいで休んでられない」と人混みや職場へ出かけていくことは、おおげさに言えば、「パンデミック」を引き起こしているということにならないでしょうか。

 

|自分と他人のために

医師専用コミュニティサイトが千人の医師を対象に実施したアンケートがあります。

 

インフルエンザの疑いがある場合、病院に行く前にやるべき事は?

 1 「マスク」

 2 「休養・安静

 3 「隔離

 4 「病院に電話して受診の相談」

 5 「水分補給」

 

つまり、自分の身体のことを考えて、「休養・安静」。他人への迷惑を考えて、「隔離」ということです。「風邪くらいで」休んでもらわないと、ご本人のためにならないのと、他人へ多大なる被害を与えることになることを自覚すべきだと思います。

 

先日、私の事務所のスタッフがゴホゴホしていたので、「すぐに自宅へ帰れ」と命じました。私は血も涙もない男ですから、スタッフの健康を気遣ったのではありません。うつされるのがイヤだからです。

 

長女は大学受験をひかえています。私が外でインフルをもらってきたら、娘に何を言われるやら・・・。

 

以上、『インフルエンザ流行の原因は「皆勤賞」文化』でした。

平昌五輪開会式 安倍首相の出席を評価する

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|平昌五輪開会式 安倍首相出席

2月9日に開催される平昌五輪開会式に安倍首相が出席することが明らかになりました。

 

自民党内や保守系メディアからは反対の大合唱がおきていますが、私は出席すべきだと思いますので、今回の判断を素直に評価したいです。

 

安倍首相の出席の理由をこう述べています。これでいいと思います。

 

五輪は平和とスポーツの祭典であり、日本は2020年に東京五輪を主催する立場だ。諸般の事情が許せば平昌五輪に出席し、日本人選手たちを激励したい。

 

 現地で文大統領と是非会談したい。慰安婦問題をめぐる日韓合意について韓国が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることはできない。この考え方を直接伝えるべきだと考えている。

 

五輪は五輪で切り離して考えるべきだ。北朝鮮への圧力を最大化していく方針はいささかもぶれてはならない。この考え方も文大統領に明確に伝えたい。

 

首相は早い段階から出席を決めていたと思います。心の底では欠席したいけれど、「米ホワイトハウスから、開会式に出てほしいという強い要請があった」(政府高官)こともあり、ペンス米副大統領も出席となれば、行かざるをえない状況が早くに作られていたと想像します。

 

自民党内のタカ派や保守系メディア、ネット世論などが大反対の論陣を張らせるだけ張らせておいて、「自分はこんなに反対があっても出席するのだ」というメッセージを韓国に対して、あるいは米国に対して発したいのでしょう。

 

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 |政治の技術

慰安婦問題での日韓合意は、条約にも等しいものです。大統領が代わったからといって、反故にされてはならない国際的な約束事です。合意見直しを大統領選挙で公約にしていた文大統領の世論対策に日本政府はつきあわず、あくまでも誠実な履行を求め続ける姿勢を持たねばなりません。

 

首相が出席することで、韓国に「間違ったメッセージを送ることになる」と批判する向きがありますが、「間違ったメッセージ」を送らなければ良いだけの話です。

 

一方で、五輪は、スポーツを通じての「平和の祭典」です。二国間には隣国だからこその様々な政治的問題があって当然です。そうした政治的問題が、市民どうしの経済的・文化的交流に悪い影響を及ぼすことのないよう、適切に対応していくことが政治の技術です。

 

「韓国にはその政治の技術がない」との批判が聞こえてきそうですが、ならば、「日本がそれを見せてさしあげましょう」という姿勢が大切だと思います。

 

首相は笑顔で開会式に出席し、大いに日本人選手を激励・応援して頂きたいです。入場式に韓国(南北統一チーム?)選手団が入場した際には、普通に拍手で迎えてあげてほしいです。

 

もちろん、文大統領との会談では、日本の主張を明確に突きつけて、丁々発止の議論をして頂きたいと願っています。

 

    

彦根東高校 選抜高校野球 出場決定! 「文武両道」ならではの頭脳プレーに期待

|選抜高校野球 彦根東高校 出場決定

春の選抜高校野球大会に、彦根東高校の出場が決定しました!

 

昨年夏の大会に引き続いて春の選抜も出場で、夏・春と連続して甲子園出場です。

 

秋の滋賀県大会は3位に終わったものの、近畿大会では初戦で明石商業(兵庫県大会優勝)を破り、ベスト4をかけた近江とは惜敗。ともに内容の濃い接戦を演じたことが評価され、出場が決まったようです。

 

今回は、彦根東に競り勝った近江、21世紀枠で膳所と、何と滋賀県から3校選ばれました。

 

そこで、彦根東高校の紹介や、昨夏の甲子園での「文武両道ならではの頭脳プレー」などをお知らせします。

 

www.1097naga.com

 

|赤鬼魂

1798年、後に大老井伊直弼を輩出した彦根藩の藩校として始まり、1899年の中学校令によって滋賀県第一中学校となったのが、現在の彦根東高校。藩主井伊家の先駆者精神を継承し、県立一中としての誇りと負けじ魂「赤鬼魂」を伝統としています。

 

彦根藩の藩祖・井伊直政は、関ヶ原の戦などで徳川の先鋒隊を率いて戦いました。その時の直政隊は、鎧・兜・旗指物をすべて赤く染めた、「赤備え」の軍勢でした。その軍勢が敵を撃破して大活躍したことから、「井伊の赤備え」「井伊の赤鬼」と怖れられるようになりました。

 

したがって、彦根東の応援団はみな、「赤鬼魂」と記された真っ赤なTシャツと赤い帽子をかぶります。(阪神ァンの私は、広島カープみたいで若干の抵抗がありますが)真っ赤に染まったアルプススタンドはまさに壮観の一言。相手チームの選手は、「火山が噴火したみたいで怖かった」と言っています。

 

|打撃練習が出来ないグラウンド

他の強豪校のような専用グラウンドはありません。国宝の彦根城の堀の中に学校があるため、とても狭いです。バッティング練習や内外野の連携プレーなどの練習も十分に行うことができません。

 

グラウンドの狭さを補うために、民間のバッティングセンターに通っています。これは、OBらが掛け合って、運送会社が空き倉庫を改修して開業したものです。

 

また、立命館大学スポーツ健康科学部と連携して、選手一人ひとりの食事プランを組み立てています。保護者を交えた勉強会を重ね、家庭での食事にまで気を配っています。がっしりした体格の選手がそろっているのもそのためでしょう。

 

|「文武両道」を行く

滋賀県有数の進学校。学校の定期試験が年5回。実力テスト、校外模試、休み明けテストなどがあります。

 

野球部員だからといって特別扱いはありません。逆に、悪い点数だと、土日など1日練習の日も午前中は勉強させられます。

 

といっても、部員は平日も練習が終わった後に、塾に行くなど勉強への意欲は人一倍です。試合前夜に監督が「勉強禁止令」を出さなければならないほどです。エースの増居翔太君はテレビの取材で、「目標は京大と甲子園に行くこと」と断言しています。

甲子園監督 7人の名将が語り合った理屈と本音

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|頭脳プレー①

昨夏の甲子園では、彦根東は開幕戦(対波佐見)を9回逆転サヨナラで勝ち、甲子園初勝利を飾りました。この試合では、「文武両道」ならではの頭脳プレーがありました。

 

相手がセンター前ヒットを放ちました。打者ランナーは、ファーストが前に出て塁が空いているのを確認して、一塁を大きくオーバーラン。打球を処理するセンターは、ゆっくりとセカンドへと返球するフリをして、一塁へ矢のような送球をします。何と、キャッチャーが一塁まで来ていて捕球する頭脳プレー。

 

間一髪、セーフでしたが、観衆をうならせるシーンでした。テレビ朝日『熱闘甲子園』で解説していた古田敦也(元ヤクルト監督)も、「こんなプレーは見たことありません。まさに、攻撃的守備。すばらしい」と絶賛していました。

 

|頭脳プレー②

9回裏、1点をリードされた彦根東の攻撃は、1死1、3塁。

 

ここで、何と、彦根東はヒットエンドランを仕掛けます。これには本当に驚きました。何か見てはいけないものを見た、という感じがしました。

 

具体的には、一塁ランナーだけがスタートを切り、打者は叩きつけるようなバッティングをしてゴロを打ちました。三塁ランナーはゴロゴー(打球が転がったと同時にスタート)。見事に、同点に追いつきました。

 

高校野球で1点を取る有力な作戦はスクイズ。相手も当然、警戒してきます。そこを逆手にとります。三塁手はベースについているため三遊間は広く空き、一塁ランナーがスタートを切ると二塁手が二塁ベースカバーに入るため、一二塁間も大きく空きます。つまり、ヒットゾーンが広がることになります。

 

また、投球もスクイズを警戒するために外角中心となり、狙い球を絞りやすく、何よりヒットゾーンが広がるのがわかるので、打者の緊張も和らぎます。

 

グラウンドが広く使えない彦根東が、数多くの練習を積み重ねてきたシチュエーションが1死1、3塁であり、このプロ野球などではお目にかかれない作戦だったのです。

 

彦根東の村中隆之監督は、同校同窓会報で次のような趣旨のことを述べています。

 

状況に応じて点を取る方法は数学の公式のようなもの。公式を用いて解く練習問題を繰り返しやってきた。実践では、どの公式を用いるかを指示し、選手が解いていくだけ。途中で計算間違いをしなければ、正答は得られる、つまり点がとれる。

 

選抜大会は3月23日に開会。彦根東には、文武両道ならでは頭脳プレーで赤鬼魂旋風を巻き起こしてくれることを期待しましょう。

以上、『彦根東高校 選抜高校野球 出場決定! 「文武両道」ならではの頭脳プレーに期待』でした。

 

 

全国高校野球選手権大会 使用球(99回バージョン)

全国高校野球選手権大会 使用球(99回バージョン)

 

 

 

 

 

 

 

藤浪晋太郎 復活のカギは「イップス」克服よりも捕手

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|球界のレジェンドが認める逸材

プロ野球のキャンプが間近となってきました。阪神ファンにとって気がかりなことは、藤浪晋太郎が復活できるのか、新外国人のロサリオは活躍できるのか、でしょう。

私なりに、藤浪晋太郎の復活のカギは、よくいわれる「イップス」の克服よりも、捕手のリードというか、開き直りだと考えています。

 

藤浪晋太郎は日本球界の宝です。WBC日本代表の投手コーチを務めた権藤博は、「日本代表に召集する投手を3人選べと言われれば、菅野、大谷翔平、藤波」と言っていましたし、壮行試合での藤波を見て、「やはり、モノが違う」と言わしめました。

先日、亡くなられた星野仙一氏も「藤波は素材としては大谷より上」と言い、落合博満は、「自分が今、打席に立つとして、最もいやな投手は藤波」と述べています。

まさしく、球界のレジェンドたちが認める逸材なのです。

 

|藤浪晋太郎の注目点

 

その藤波が昨年、極度の不調に陥りました。いうまでもなく、制球難です。しかし、これは今に始まったことではありません。入団2年目の2014年から3年連続で四球はワースト1位、死球数も2014年からワースト3位以内の常連です。四球でいえば、平均すると、打者10人に1個、死球では100人に1個の割合で与えています。

 

「四死球から崩れる」とよく聞かされますが、藤波の場合は、それでもプロ5年間の通算防御率は3.05です。もっと、この点に注目すべきかと思います。

 

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|藤波は「イップス」か

いわゆるトラ番記者の間では、「藤波はイップスだ」というのが共通認識になっているとのことです。

 

イップス(Yips)とは、精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、自分の思い通りのプレーが出来なくなる運動障害のこと。本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われている。

 

一説によると、プロ野球を辞めていく選手の8割はイップスを抱えているといわれていますので、かなり心配になってきます。

 

藤波の場合、昨年4月のヤクルト戦で、畠山和洋の頭部付近に当てて乱闘になったシーンが引き金になったと指摘されています。

 

でも、繰り返しますが、与死球はその数も割合も、リーグトップなのです。乱闘やこぜりあいは何度も経験しているはずです。それくらいで、精神的にやられてしまうとは到底考えられないのです。

 

高校時代から騒がれ、そして阪神というファンの目が厳しい人気球団に入り、5万人の大観衆を背に、高校を出たばかりの19歳が堂々と2桁勝利をあげるのですから、並大抵の精神力ではないと思うのは私だけなのでしょうか。そもそも、藤波自身がイップスを強く否定しています。

 

藤浪晋太郎―阪神タイガース (スポーツアルバム No. 46)

藤浪晋太郎―阪神タイガース (スポーツアルバム No. 46)

 

 

|捕手がリードしない

日本球界の常識の1つに、コントロールの良い投手が名投手の条件、というのがあります。かつての桑田真澄、今では菅野あたりが、ボール1個の出し入れをして打者を翻弄するとされています。もちろん、この2人が名投手には違いありませんが。

 

藤波は、この名投手の観念にとらわれ、コーナーの四隅を狙うコントロールを重視するあまり、本来の良さであるダイナミックさとかスピードを殺し、フォームまでおかしくなっているのではと思うのです。

 

阪神二軍監督の矢野燿大は、現役時代の思い出として、「(藤川)球児は、自分の玉の力で抑えていまうので面白くなかった。その点、下柳は構えたところに必ずくるので、リードしていて楽しかった」と言っています。

 

捕手としては、どうしてもリードしようとします。配球の妙をみせようとします。このあたりは、野村克也の影響が大なのかもしれません。

 

極論すれば、藤浪晋太郎にはリードは必要ありません。捕手はど真ん中にミットを構えているだけで、サインは直球か変化球かの球種だけにします。おそらく、素直にど真ん中にはこずに、左右上下に散っていくでしょう。

160キロ近い球速で、球質も重いわけですから、そう簡単には打てないはずです。古田敦也や谷繁、山本昌は「藤波をリードしようと思わず、開き直って、この荒れ玉を打てるものなら打ってみろ、という感覚でいい」と口をそろえて言っています。

 

以上、『藤浪晋太郎 復活のカギは「イップス」克服よりも捕手』でした。