とくなが久志奮闘録

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中学校部活動、週2日休養へ そのメリット、デメリット

中学部活、週2日休養へ

中学校の運動部活動のあり方について、スポーツ庁の検討会議は、学期中は週2日以上を休養日とし、1日の活動時間は平日2時間、休日は3時間程度に抑えることを柱とするガイドラインの骨子案を発表しました。

 

そこで、そのメリットとデメリットをまとめてみました。

 

       中学校運動部活動に関するガイドライン骨子案

  • 少なくとも平日1日、週末1日以上の計2日以上を休養日とし、活動時間は平日2時間、週末3時間に抑える。
  • 教育委員会や学校法人は「運動部活動の方針」を作り、休養日や活動時間を設定。学校ごとでも作成する。
  • 季節ごとに違う種目に取り組むなど、競技志向だけでない多様な運動部を設置し、多くの生徒の運動機会をつくる。
  • 外部人材の部活動指導員を任用する。

   *高校は対象外だが、基準の準用を期待する

 
 
つまり、平日の月曜から金曜日のうち1日、土曜・日曜のうち1日、部活動は行われないというものです。
 
ガイドライン骨子案となっていますが、私の子どもが通う学校では、同様の趣旨を4月から実施するとしたプリントが、教育委員会名で配付されていますので、全国的にこの4月から実施されるとみていいでしょう。
 

中学部活の実態

 
2016年のスポーツ庁の実態調査によりますと、円グラフにあるように、休養日を設けていないか、週1日だけの中学校は全国で7割を超しています。また、土曜か日曜のいずれかを休養日に定めているのは、全体の3割に満たないことがわかります。
 
スポーツ庁としては、部活動の教育的意義は認めながらも、数値を明確にした基準を示すことで過熱化に歯止めをかけ、教員の働き方改革にもつなげたいようです。
 

週2日休養のメリット

◎教員が子どもと向き合う時間が増える
 
 現在の学校現場は、はっきり言って、「ブラック化」しています。教員は、授業の他に、生徒指導・進路指導、事務、保護者対応、部活動と目の回る忙しさです。
 
労働基準法では、4週のうち4日以上の休みをとることが義務付けられていますが、約6割以上の教員が5日以上出勤しています。また、授業準備よりも部活動指導の時間の方が長いという教員もいるようです。
 
部活動の指導にあてていた時間が縮小され、その分、授業の準備や見守りの必要な子どもに向き合う時間が生まれてきます。
 
 
◎子どもが怪我をするリスクが小さくなる
 
 青少年期は、スポーツする時間が長ければ長いほど、外傷や障害の発生率が高く、週16時間以上の場合、ないし「年齢×1時間」より多い場合は、より発生率が高くなるという研究があります。(スポーツ庁の報告)
 
高校時代が選手としてのピークだったというプロ選手がいますが、これも中学高校時代の行きすぎた練習の影響だという見方もあります。
 
 
◎子どもが家族の団らんや地域との関わりが増える
 
 今の子どもはとても多忙です。学校の授業・部活動、塾・習い事。子どもが中学で部活を始めてからは、家族で外食する機会もなくなったという声をよく聞きます。
 
地域の様々な行事、祭りやボランティア活動も、本当は子どもたちに積極的に参加してほしいのに、「部活があるから」と断られ、結局、実際の参加者は高齢者ばかりという例が多いのではないでしょうか。
 

 

週2日休養のデメリット

◎「自主トレ」を強制される
 
 「俺はサッカーをやりたいから、中学教師になった」という人が結構、いたりします。社会科で採用されたはずなのに・・・。
 
こういう部活大好き教員は、学力向上や非行防止よりも「県大会優勝」を唯一最大の目標にします。
 
そんな教員が考えつきそうなことは、「自主トレ」への参加を強制することです。つまり、「水曜と日曜は休みと決めているが、部員みんなが自主的に集まって、勝手に練習する」ことを強制することです。
 
当然、本来は休みですから、指導の教員はいません。しかし、その自主トレで、万一、何らかの事故がおこったら、誰が責任をとるのでしょうか?
 
 
◎経済格差がスポーツの格差になる
 
 今回の措置は、公立学校は従うでしょうが、私立は各々の判断に任されることになります。
 
今、私立中学は、人口減少の影響で「冬の時代」を迎えています。「毎日、休みなしに部活動が出来る」ことを、「うり」にする私立が出ないとも限りません。
 
すでに、野球などの私立強豪校は、併設する中学から入学させて鍛え上げています。怪我をするリスクがあるとはいえ、練習量に比例して上達していくのも青少年期です。練習量が少なくなった公立を嫌って、私立へと流れる子どもが増えることは十分に考えられます。
 
それでは、経済的な理由で私立中学へ行くことができない子どもはどうなるのでしょうか。何年かたって、プロスポーツ選手のプロフィールを調べてみたら、ほとんどが私立中学出身で、親の平均年収は1千万円以上ということになってしまいかねません。
 
以上、『中学校部活動、週2日休養へ そのメリット、デメリット』でした。