とくなが久志奮闘録

日々の生活や仕事のなかで考えたことを、ふんわりと書き連ねていきます。

『朝まで生テレビ』が懐かしい。保守の論客・西部邁氏が自殺

|『朝まで生テレビ』

保守の論客として鳴らした西部邁氏が入水自殺したとのニュースを聞いて、何だか急に、テレビ討論番組『朝まで生テレビ』が、本当に「朝まで」やっていた頃が懐かしくなりました。

 

私が30歳代前半、月1回の『朝まで生テレビ』が楽しみで仕方ありませんでした。『朝なま』で聞いた話を、あたかも自分の意見であるかのように、友人達に話していたものです。

 

特に、映画監督の大島渚氏や作家の野坂昭如氏といった左派リベラル派に対して、保守の側から論陣を張った西部氏。まさに殴り合わんばかりの大激論をしても、互いにリスペクトし合い、ユーモアにあふれ、とても明るかったと記憶しています。

 

少なくとも、今の有名人の不倫叩きのような陰湿さはありませんでした。大島氏も野坂氏もすでに亡くなられています。西部氏も逝き、あの世ではすでに3人で激論が始まっているのでしょうか。

 

|『保守の神髄』のなかの「ある私的な振る舞い」

西部氏は昨年(2017年)末に新著『保守の真髄』を刊行したばかりでした。ただ、その著書の中で、自殺をほのめかすような記述があったと指摘されています。

 

著書の中で西部氏は、利き手の右腕がますます激しくなる神経痛で字が書けなくなったこと(そういえば、最近は白い手袋をはめてテレビに出演していました)を明かし、口述筆記をしてくれた娘に「僕の最後のものとなる著述を助けてもらって、大いに楽しかったし嬉しくもあった」と感謝。 

 

「ともかく僕はそう遠くない時期にリタイアするつもりなので、そのあとは、できるだけ僕のことは忘れて、悠々と人生を楽しんでほしい」と別れをほのめかしていました。

 

さらに、「ある私的な振る舞い」を予定していたが、「予定日に衆議院選挙が行われると判明」し、他にも「予定日の延期理由」を書き連ねています。この「ある私的な振る舞い」とは何を示唆するのかは・・・

 

かつて、武村正義元大蔵大臣が、「人間はいつ、どこで、どのように生まれるかを自分で決めることはできない。だから、せめて、いつ、どこで、どのように死ぬかは自分で決めても良いのではないか」と言われていたのを思い出しました。

 

保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱 (講談社現代新書)

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|ウーマン村本とも対談

西部氏は、ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏とも雑誌『AERA』で対談しています。

 

村本:西部先生とお会いできてよかった。僕、高校時代に不良に脅された時、ストレスがたまって白髪がいっぱい生えたんです。人間は悩めば白髪が増える。だから、白髪まみれの西部先生は信用できます。

 

西部:ストレスがあって白髪が増えてハゲになっても女房や子どもに何も知らせず、さも楽しげに老いたオオカミと暮らしているように見せないといけない。寅さんじゃないけど、男はつらいんだよ。

 

 

西部氏には、ずっと「老いたオオカミ」でい続けて欲しかったと思います。

 

以上、『「朝まで生テレビ」が懐かしい。保守の論客・西部邁氏が自殺』でした。

 

AERA (アエラ) 2017年 12/18 号【表紙:YOSHIKI】[雑誌]

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西部邁ゼミナールvol.16 (ゲスト:黒鉄ヒロシ) 「原発」はいかに議論されるべきか [DVD]

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